Voices|田中 芙由子さん

「健康」について多面的に学べるところが魅力

Profile

田中 芙由子(たなか ふゆこ)
【スポーツマネジメント専修】

慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修 修士課程在籍(2年)

「スポーツと健康」への関心

健康マネジメント研究科へ進学したのは「スポーツと健康」に興味があったからです。もともとスポーツは好きだったのですが、「スポーツと健康」に関心を持ったきっかけは、2つあります。

ひとつめは、学部在籍時に体育会ボクシング部のマネジャーを務め、減量する部員の姿を見てきたことです。非常に過酷な減量に取り組む部員もおり、健康障害を心配していました。減量によって身体にどのような変化が起こるのか、身体への影響の少ない減量方法はないのか、そのようなことを知りたいと思い、学生アスリートが健康を維持しながらスポーツを行うことへの関心が高まりました。

ふたつめは、超高齢社会である日本が抱える健康課題に対し、さまざまな国策が打ち出されている現状を知ったことです。例えば、日本は世界有数の長寿国ですが、健康寿命の延伸は重要課題の一つです。健康は、個人はもちろんのこと、国にとっても重要なテーマであり、スポーツによって解決できる健康課題もあると感じました。卒業研究は、スポーツと行政をテーマにしました。

「スポーツと健康」という軸で大学院を探しましたが、①出身学部が問われず、②インターンシップによって現場を知る機会が得られ、③多彩な専門領域の教員から学ぶことで知見が広がり、④科学的分析手法をきっちり習得できることから、健康マネジメント研究科を志望しました。慶應義塾が好きなことも志望理由のひとつです(笑)。

ボクシングのアスリートを対象にした研究

研究科では「減量に伴う運動パフォーマンスと体組成計の変化」について研究しました。大学ボクシング部の学生アスリートを対象に、減量前・減量期・試合後の計3回、体組成や運動パフォーマンス、食事内容を測定して、継時的変化を検証しました。大学生ボクサーの減量の現状、減量による身体への影響、減量方法や食事内容と体組成、運動パフォーマンスとの関係を明らかにすることで、減量方法の改善や適切な階級選択の指針づくりにつなげたいと考えました。できるだけリスクの少ない減量方法を提案することで、スポーツ医学や栄養学の専門家のサポートが受けられなくても、アマチュアボクサーたちがよりよいコンディションで試合に臨めるようになれば嬉しいです。

健康マネジメント研究科の強みと魅力

健康マネジメント研究科の魅力はたくさんあると思います。

ひとつめは幅広い領域をカバーする科目が揃っていることです。出身学部や職業・職種などのバックグラウンドが問われない理由がここにあると思います。健康マネジメントは多領域にまたがる学問なので、幅広い知識を身につけ、多面的に考えられるようになることが必要だと思います。例えば、私は法学部政治学科出身なので法学や政策の基礎知識は身につけていましたが、医科学や経営学の知識は不足したので、自分に足りない領域の授業を積極的に履修しました。

ふたつめは分析手法科目です。授業は実践的で、課題に対して自分たちでデータを収集して分析し、分析結果に基づいて解決策を導き出すことが求められます。理論を座学だけで学ぶのとは違い、手を動かしながら学べるので、記憶に残りますし、達成感があります!ちなみに私が所属していたグループでは、ときめく人は病気に対する免疫力が強く長生きできるというデータから、人に"ときめき"を与える「理想の宝塚歌劇団男役スター像の提案」をテーマにしました。私も宝塚が好きなので、分析を進めるのが楽しかったです。

みっつめは指導教員決定の時期です。他の大学院では出願時に指導教員を決めますが、健康マネジメント研究科では指導教員は1年次の秋学期開始前に決まります。入学後、さまざな授業を受けたりプロジェクトに参加したりする過程で、研究したいことが変わる場合もあると思います。研究テーマをじっくり決められるところも、健康マネジメント研究科の魅力だと思います。

ほかにも、インターンシップに行けることや、多様なバックグラウンド・年齢層の学生から刺激を受けられることも魅力だと思います。

アカデミックな世界から人びとを支えたい

私は4月から慶應義塾の大学事務職員として働くことになります。学問や研究が好きで、アカデミックな世界に関わり続けたいという気持ちを強く持っていました。それならば後期博士課程に進学してはどうか、という意見もあるかと思います。慶應義塾で6年間の学生生活を過ごしましたが、体育会や大学院で職員の方々と接する機会が多く、充実した学生生活は裏方である職員の方々によって支えられていることを実感しました。それで、私も支える側になりたいと思いました。病院も有する総合大学である慶應義塾は、教育、研究だけではなく医療の面からも社会を先導する役割を担っています。学生生活や研究活動などをしっかりサポートすることで、優秀な人材の輩出だけでなく、人びとの健康を支えることにも貢献したいと考えています。

健康マネジメント研究科への入学を検討している方へ

健マネには本当に魅力がたくさんありますし、充実した学生生活を送ることができると思います。私自身は文系の学部出身だったので、大学院で医学的な面から健康とスポーツについて研究するのは難しいかなと思っていましたが、「やりたい!」という気持ちがあれば、それをサポートしてくれる環境が健マネにはあります。大学院生というと、授業は少なく自分の研究にひたすらいそしむイメージがありましたが、修士1年生には1限から6限まで授業を履修することもありました。これは、健マネにはたくさんの興味深い講義があることを意味していて、充実した大学院生生活を送れたと思っています。看護学、医療マネジメント、スポーツマネジメント、公衆衛生、4つの領域から成る健康マネジメント研究科。自分の所属する専修に限らず、他専修の授業も履修できるので、「健康」について多面的に学びたい人にはぴったりだと思います!