2020.08.12

本研究科在籍学生、スポーツ庁 「第3回パブコン~もしもあなたがスポーツ庁長官だったら~」で優秀賞受賞

スポーツ庁では、国民のスポーツ実施率を向上させるためのアイデアや動画を募集する「第3回パブコン ~もしもあなたがスポーツ庁長官だったら~」を実施し、事業プラン部門に408作品、動画部門に113作品と多数の応募がありました。

これらの作品の中から事業プラン部門は、公衆衛生・スポーツ健康科学専攻修士課程2年菊池可南子さんが優秀賞を受賞し、動画部門では(TDTチームとして)公衆衛生・スポーツ健康科学専攻修士課程2年洪東方さん、新井崇弘さん、公衆衛生・スポーツ健康科学専後期博士課程1年於タオさんが優秀賞を受賞しました。

スポーツ庁関連URL

https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop05/list/detail/1413579_00002.htm

受賞者コメント

菊池可南子さん

今回、国民のスポーツ実施率の向上のために「そのついで」をキーワードに事業プランを提案いたしました。実現可能性の高い事業プラン作成の難しさを感じるとともに、「スポーツ×○○」の無限の組み合わせによる可能性を大いに感じました。スポーツが日常に溶け込み身近になることで、人々の生活はもっと豊かになると考えます。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、私たちは「新しい生活様式」として中長期に感染症対策と向き合うことが必要となりました。このような状況から、身体だけではなく心も健康でいられるためにスポーツの重要性が再認識されています。スポーツの在り方、取り組み方も、今までよりもさらに自由で多様なものになっていくのではないでしょうか。多くの人が、自由な発想で「スポーツ×○○」を考え提案できる場があり、楽しくスポーツライフを送ることができる社会が理想であると感じます。自分自身、身体活動・健康を専門的に学ぶ一人として、進んで貢献していきます。

洪東方さん

「無形資産」と言われる人々の健康状態は、現金や住宅のような有形資産と同じく日々の積み重ねが重要だと考えられています。有形資産の貯蓄、例えば、貯金残高は少しづつ増えていることが目に見え、貯金の「効果」がわかっていることが、貯金の習慣を長続きさせるモチベーションになるでしょう。ただし、一般人には、無形資産の貯蓄(健康の向上)、例えばスポーツの効果が明確に見られないため、なかなか長続きさせられない人が多いと思います。そこで、どうやってスポーツの価値を見えるようにするのかが、この動画でチャレンジしてみたかったところです。今後は、健康データの可視化を通じて、健康増進に向けて個人の意識変化と行動変容を促し、国レベルの健康増進効果が期待できると考えています。

新井崇弘さん

古代ローマの哲学者キケロは、著作『老年について』(紀元前44)において、「健康」は、肉体だけでなく精神や心に対する労いでもあると述べています。スポーツ(運動のみならず日常生活動作を含む)は、当然ながら将来の身体活動を担保する目に見えない「無形資産」を形成する上で重要となります。加えて、人間関係・社会活動と密接な関わりを持ち、精神や心においてもポジティブな働きをすると考えられています。すなわち、スポーツは思ってもみない「複利」を生み出すことがあるわけです。

今回の作品では、会社での人間関係の側面にもフォーカスを当てて、同僚との社会的・精神的な繋がりを得るまでのサクセスストーリーを描き、より良い健康のあり方を提示しています。

コロナ禍で社会活動のあり方が大きく変わるなか、自分なりのスポーツを通じて、心身をともに向上させていきましょう。

於タオさん

日本におけるスポーツ実施の数値目標は、成人のスポーツ実施率を週1回以上が65%程度(障がい者は40%程度)と定めています(第2期スポーツ基本計画)。現在、日本の現状としてスポーツ庁が実施した「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(令和元年)によれば成人のスポーツ実施率は50%程度となっています。

身体不活動は各ライフステージで様々な健康リスクが危惧されている中、ポピュレーションアプローチとしてすべての人が少しずつ(例えば10分)身体活動を行えば、集団としての平均値は確実に上昇し、国レベルでも身体活動による効果が期待できると考えています。しかし、現代の生活はとても繫忙であり、生活にスポーツを取り入れることは難しいようにも思えます。したがって、現在、行っている仕事や生活習慣と「置き換える」ことや、取り組んでいることと並行して「ながらスポーツ」が大事なのかもしれません。

引き続き、スポーツ実施率向上に向けて、有効かつ有益な提案・研究を進めて参ります。