3つの方針

ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)

修士課程

 本研究科は、保健・医療・福祉を取り巻く課題に対して、適切に分析・考察して解決することができる研究者ならびに実務家を養成することを目指しています。修士課程の学生は、2年以上在学し(看護学専攻では本学看護医療学部との5年一貫教育制度あり、公衆衛生・スポーツ健康科学専攻では早期修了制度あり)、各専攻・プログラムが定める修了要件を満たす授業科目を履修して30単位以上(看護学CNSプログラムは46単位以上)を修得して当該領域の基礎知識と分析方法を修得するとともに、専門領域の研究の動向を踏まえて設定した研究課題を科学的方法にて検証し、研究結果に基づいた考察をまとめ、その研究成果を論文発表会で発表し、修士論文または課題研究論文を完成させ、最終試験に合格することで、修士号が授与されます。

後期博士課程

 後期博士課程の目標は、将来にわたり保健・医療・福祉の領域を先導する研究者および実務家として社会に貢献し得る人材を輩出することであり、具体的には以下の通りです。
1.専門領域において明確な成果が得られていること
2.自立して高度な研究を遂行する能力が示されていること
 後期博士課程の学生は、正規の在籍期間中に修了要件となる特論科目および合同演習科目を履修し(合計10単位)、自立して高度な研究を行うための能力を身につけます。また、論文中間審査会において、年1回(在学期間中に計3回)研究計画を含めて研究成果について中間報告を行い、専門領域に新しく重要な知見を付与する高い水準の研究を進めているか審査されます。所定の科目を修得し、論文中間審査会において報告を行い、かつ査読付学術誌に掲載された研究成果を骨子とする学位請求論文を提出し、論文審査に合格することで、博士号が授与されます。

カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)

修士課程および後期博士課程では、共通して以下の3つを重視してカリキュラムが編成されています。

・学際的教育の重視

 多様な背景・専門の学生を受け入れている本研究科は、学生が互いの視点と言語を共有し、活発な議論を通じて切磋琢磨する、協働を通じて学ぶ環境を整えています。それゆえ、特定分野・領域の専門科目だけを履修するのではなく、様々な専門科目を履修することで視野を拡げ、社会の健康水準の向上に貢献できる基礎的能力を培うことを重視しています。

・実務と研究の融合の重視

 本研究科では、実務と研究を融合させた教育を重視しています。実践を通じて得られたデータを体系化することで理論を構築し、理論的枠組みを用いて現場の課題解決を図り、さらに現場からフィードバックされたデータをもとに既存理論を検証し修正する、実務と研究が相互に行き来する一連のプロセスを理解するための科目や機会が用意されています。

・実証的研究方法の重視

 保健・医療・福祉のいずれの領域においても、限られた資源を効率的に活用して効果的な成果をあげるためには、個人や集団を問わず、臨床的な合理性と経済的な合理性の両立が求められます。そのため、本研究科は、勘や経験に頼るのではなく、エビデンスに基づく合理的意思決定に必要とされる実証的な分析手法の修得を重視しています。

修士課程

 修士課程のカリキュラムは「導入科目」「分析手法科目」「専門科目」「インターンシップ関連科目」「特別研究科目」で構成され、専攻・プログラムにより必要単位数が定められています。  「導入科目」では、多様な背景・専門の学生が入学することから、本研究科での学習に必要な基礎知識を学びます。「分析手法科目」では、専門領域を問わず合理的意思決定に求められる、エビデンスの分析および解釈に関する基礎理論と具体的手法を修得します。「専門科目」では、専門領域における高度な知識と技能を修得します。「インターンシップ関連科目」では、実務と研究の融合を企図した実務教育が行われます。「特別研究科目」では、修士論文または課題研究論文を作成するための研究指導を受けます。これらは、多くの教員から段階的に教育を受ける仕組みになっています。
 なお、看護学専攻には、看護学の専門性に対応した看護学各分野における実践家、研究者、教育者の育成を目指すための複数分野がおかれています。また、特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有することが認められた専門看護師(Certified Nurse Specialist:CNS)を養成するプログラムは、日本看護系大学協議会による専門看護師教育課程基準を満たす教育課程として組み立てられています。
 公衆衛生・スポーツ健康科学専攻の公衆衛生学プログラムは、国際基準に則った基本5領域(生物統計学、疫学、医療政策・管理学、社会/行動科学、環境保健学)から構成されるコア科目が提供されています。

後期博士課程

 後期博士課程のカリキュラムは、修士課程における教育成果をもとに、各学生の研究計画書をふまえた研究指導・論文指導を中心に組まれています。学生が3年間の履修を修了すると同時に学位を取得できるように、「特論科目」と「合同演習科目」の履修を通じて、学位授与に至る各段階に応じた複数の教員の指導を受ける仕組みになっています。
 なお、他研究科修士課程修了者や、本研究科修士課程修了後しばらくの期間実務に就いていて最新の理論や分析手法等に精通していない者は、修士課程設置科目を履修することで知識を補完することができます。

アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)

修士課程

 修士課程は、学際的・先進的領域の研究科として教育・研究水準の向上と広がりを目指し、学部の新規卒業者に加えて、実務経験を有し様々な領域で活躍する社会人も対象としています。なお、看護学専攻は、原則として、看護学の基礎教育課程を修了した者を対象とし、公衆衛生・スポーツ健康科学専攻は、医療系・非医療系の出身学部を問わず多様な専門を持つ者を幅広く受け入れます。
 入学者選抜は、入学希望者の本研究科における学習研究への意欲や研究活動の遂行に求められる課題設定能力・論理的思考力・分析力・説明能力等を小論文試験および面接試験を通じて多面的に評価し判定しています。修士課程の入学試験は、国内外の多様な価値観を持つ学生を受け入れるため、Ⅰ期(7月)、Ⅱ期(11月)、Ⅲ期(1月)の年3回実施しています。

後期博士課程

 後期博士課程では、上記の修士号取得の要件を満たし、将来、保健・医療・福祉の領域を先導する研究者および実務者として活躍が期待されうる能力を備えていることが期待されます。入学試験では、出願時に提出された志望動機・研究計画書・入学志願者に関する所見・評価書及び英語能力試験結果をもとに面接試験を行い、専門領域に関する幅広い基礎知識及び研究遂行能力を審査します。後期博士課程入学試験は、前期(11月)、後期(1月)の年2回実施しています。本研究科の修士課程修了者以外にも積極的に門戸を開いています。また、英語のみで課程を修了し、博士号を取得することもできます。