遺伝看護分野Genetic/Genomic Nursing

ゲノム情報に基づく多様性を支える看護・ケアの探究
急速に発展するゲノム医療における看護の役割の追究

教員構成

村上 好恵

村上 好恵

Yoshie Murakami

分野の研究テーマ

遺伝性疾患の患者・家族への生涯にわたる継続的支援
遺伝的課題を持つ個人・集団に対する看護
ゲノム医療における看護の役割、倫理・法的・社会的課題(ELSI)

修士論文のテーマ

  • 地域医療支援病院に勤務する看護職の遺伝性腫瘍に関する知識と看護実践の現状(2019)
  • 遺伝性不整脈を持つ患者の体験に関する質的研究(2019)
  • 遺伝性乳がん卵巣がん症候群の未発症血縁者におけるリスク管理への取り組みと心理社会的問題に関する文献レビュー(2020)
  • 消化管過誤腫性腫瘍好発疾患群に関する現状に対する医療者の認識―患者支援に向けた課題の検討―(2021)

研究キーワード
遺伝/ゲノム情報、遺伝/ゲノム医療、遺伝学的検査、遺伝カウンセリング、遺伝リスク評価、プレシジョンメディスン、ライフステージ、家族内コミュニケーション、意思決定支援、ピアサポート、ELSIなど

分野の紹介

臨床におけるゲノム情報の活用は加速度的に発展し、その情報が適切に活用され、より個別的で効果的な診断・予防・治療に貢献することが期待されています。第2期健康・医療戦略では、全ゲノム解析を含むゲノム医療の実装化の更なる発展と患者への還元が強調されています。一方、遺伝情報には不変性、予測性、共有性という特性から慎重な対応が必要とされ、様々な臨床領域において、看護職が遺伝学的知識を得て支援の役割を担っていくことが求められています。
遺伝看護分野では、修士論文コースと専門看護師(CNS)プログラムを設けています。
遺伝看護専門看護師は「対象者の遺伝的課題を見極め、診断・予防・治療に伴う意思決定支援とQOL向上を目指した生涯にわたる療養生活支援を行い、世代を超えて必要な医療・ケアを受けることができる体制の構築とゲノム医療の発展に貢献する」ことが期待されます。
大学院で遺伝看護を学ぶことができるのは、現在4大学です。オンラインを活用し、様々な学習会、抄読会など、4大学の学生が共に学ぶことができる機会を設けています。

4大学合同抄読会の様子
4大学合同抄読会の様子

専門科目では、臨床遺伝学センター外来の陪席、カンファレンスへの出席を組み入れ、遺伝医療の実際に関する理解を深めています。がんプロ設置科目「先端ゲノム医学」の聴講やがんゲノム医療実装化インテンシブコースにも積極的に参加しています。
また、遺伝性疾患の患者会にも参加し、当事者の視点から遺伝医療のあり方を検討する機会としています。
ゲノム/遺伝医療に必要な専門知識と共に、潜在する倫理的、法的、社会的諸問題(ELSI)を臨床との密接な連携のもとに学び、ゲノム/遺伝看護における実践の発展と研究課題を追究できる人材の育成を目指します。

主な論文

修了生の進路

遺伝看護専門看護師、遺伝専門外来、がん化学療法部門(がんゲノム医療等)

メッセージ

これからの医療では、ゲノム情報の活用が不可欠になってきます。確かな知識と個別的な課題を見極める力を身に付け、生涯にわたり、世代を超えて人々の健康を支えることができる、遺伝看護の先導者を目指してください。