Voices|久保田 明史 さん

「医療の変革に関わりたい」大きな志での挑戦で得たもの
Profile
久保田 明史(くぼた あきふみ)
株式会社アイスリーメディカル 代表取締役社長
スマイルアンドサンキュー株式会社 取締役会長
九州大学経済学部卒業後、神戸製鋼所、IT企業を経て97年に株式会社リンクマネージを創業し、現在に至る。
2015年慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 医療マネジメント専修 修了
【医療マネジメント専修】
入学のきっかけ
私は1997年、31歳のときに起業しました。当時はまだECが普及しておらず、ネット上でクレジットカードを使うことに不安を感じる人が多い時代でした。そんな中、日本では珍しいクレジットカード決済機能を搭載したECのASP(現在のクラウドサービス)を立ち上げました。事業は順調に成長しましたが、体調を崩したことをきっかけに会社を売却しました。
その後、2006年に整骨院を多店舗展開する企業「スマイルアンドサンキュー」を創業しました。この事業も業界最速で成長しました。
前職で家族も病気で苦しみ、自らも病に倒れる経験をしました。その際、西洋医学では治らないとされる症状でも東洋医学に救われたことがありました。この経験から、日本の医療の課題を患者として実感し、いつか日本の医療の変革に関わりたいと考えるようになりました。しかし、スマイルアンドサンキューは東洋医学を実践する企業であり、医療全体に影響を与えるには規模が小さすぎると感じていました。
そんなとき、「健マネ」の存在を知り、「日本の医療を変革できる人材を輩出する」という高い志に共感し、2013年に入学をしました。
健マネで得たものと新規事業
入学後、人一倍勉強し、通常の約2倍の単位を取得しました。並行して会社経営も行っていたため、非常に多忙でしたが、高い志を持ち、睡眠時間を削って学びました。
この2年間で得たものは、医療に関する幅広い知識だけでなく、マクロ的な視点、統計の考え方、論文の読み方など、多岐にわたります。また、同期や先輩・後輩、先生方との交流を通じて、多くの刺激を受け、友情を育むことができました。特に同期とは、課題に取り組んだり、修士論文について議論したり、お互いに教え合うなど、深い関係を築きました。この仲間とのつながりこそ、勉学以上に価値のある財産だと感じています。
「医療の変革に関わりたい」という私の想いに大きな転機が訪れました。それが「コロナ」です。
コロナ禍により世界の価値観が変わり、遠隔診療が一気に普及しました。この変化を機に、新たな医療の形を模索し、「オンラインリハビリ事業」の立ち上げを決意しました。2020年から開発を開始し、2023年にサービスをリリース、新会社「アイスリーメディカル」を設立しました。
事業の立ち上げにはまだ多くの力が必要ですが、確実に認知は広まり、実績も積み上がっています。現時点で競合は存在せず、大きなポテンシャルを感じています。この事業では、名古屋大学や順天堂大学の教授たちと共同研究・開発を行っており、健マネで学んだおかげで、彼らの議論もできるようになりました。
これは企業でビジネスマンとして働くだけでは決して得られない知識と経験であり、修士課程で学び、論文を書いたからこそ身についたものだと確信しています。
健康マネジメント研究科への入学を検討している方へ
もし入学の機会があるなら、ぜひ挑戦することをお勧めします。ここには、深く学べる環境と素晴らしい仲間がいます。この2年間で得られる知識と人脈は、一生の財産になります。さらに、健マネに入ることで慶應ネットワークの一員となることも大きなメリットです。これほどの価値がある機会を逃す理由はありません。
先日、シリコンバレーに行ってスタンフォード大学のMBA学生と交流する機会がありました。スタンフォードに世界中から優秀な人材が集まる理由はMBAが取れるからではなく、スタンフォードネットワークに入ることができるから、だそうです。慶應の健マネネットワークもそれだけの価値があると思います。
入学を決めたなら、ぜひ覚悟を持ち、大学院生活にどっぷり浸かることをお勧めします。皆さんの未来は明るいです。健マネネットワークへの参加をお待ちしています!