Voices|柴 知里さん

文系理系問わずアプローチができるところが魅力

Profile

柴 知里(しば ちさと)

慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修 修士課程在籍
【スポーツマネジメント専修】

科学と情報について考えた大学時代

天文学の専門家、アマチュア、学生が集まる学会に参加したことをきっかけに専門家と一般の感覚のずれについて考え始めました。専門用語や日常生活では見慣れない数字が真に伝えたいことが伝わりにくくなっているように思いました。同じ言葉を使っていても認識が違うこともあるでしょう。テーマ問わず今後、文理融合型の考えを持った人が求められるのではと感じた経験でした。

私は大学で社会学を専攻していました。科学と関わる仕事をする方々との付き合いが多く、関心がありました。3つのサークル活動に入り楽しむ一方、自分らしいテーマや視点を持つために新聞社科学部でアルバイトをし、他社で学生記者とメディアプランナーをしていました。特に宇宙飛行士のメダカ長期飼育実験を地上から支援した女性管制官への取材経験は、その後の進路選択に大きく影響しました。チームでプロジェクトを進めること、一見結びつかない分野や企業が結びつくことに面白さを感じました。大学時代に記者の仕事を間近で見て経験し、違う角度から情報発信と受け手の様子を見たいと思うようになり科学館企画展スタッフになりました。そこで携わった展示会が健康マネジメント研究科(以下、健マネ)で学んでいる健康、公衆衛生がテーマでした。健康をテーマに教育、医療、看護、スポーツ、保健、防災、宇宙工学など様々な方向からアプローチできることが新鮮でした。 

大学院では、スポーツマネジメントを専修

科学館でアルバイトする一方、各大学院について調べていました。学際的で文理融合型教育を重視した場所で学びたいと考えていました。スポーツマネジメント専修を選択した理由は、小さい頃からスポーツを続けていたこともありますが健康をテーマに文系理系問わずアプローチすることができより新しい発見があると考えたからです。またこの代から学位をスポーツマネジメントと公衆衛生マネジメントから選択できるようになり、可能性に惹かれました。今までの経験と目標に繋がると感じ志望しました。

「ふじさわプラス・テン」の活動に参加

大学院入学後、最初のガイダンスで、小熊祐子先生から神奈川県藤沢市で進めている健康増進プロジェクト「ふじさわプラス・テン」スタッフ募集のアナウンスがあり参加を決めました。以前、宇宙飛行士の宇宙実験を支えた女性管制官を取材した際に国境や時間を越えて、チームで問題解決した喜びについて伺いました。振り返ればその頃からフィールドワークやチームで課題に取り組むことに関心を持っていたように思います。

現在は、プロジェクトの中心である地域介入を担当しています。地域の方々に、「プラス・テン(普段より10分多くカラダを動かそう)」を合言葉に体操、体力測定、認知機能評価、質問紙調査、活動量のチェックなどを継続的に行って頂き、研究協力していただいています。初回、半年後、1年後に行われる健康チェックとフォローアップ、事前準備と終了後の作業など日々作業があり大変ですが今が最も充実しています。研究だけでなく現場も大切にしておりスタッフと参加者の皆さんと一緒に試行錯誤しながら進めています。参加者の皆さんと話をする機会が多いのでスタッフの中で当たり前となっていたことも実は分かりにくかった、使いにくかったのだと気づくことができます。最近は継続的介入と新しい試みの成果を肌で感じています。「プラス・テン体操やっています」、「私もやってもたい」、「この活動を広げたい」という声を耳にすることが増え、知名度が上がってきていると実感しています。今後はプロジェクトに携わりながら、高齢者地域コミュニティの身体活動継続に関わる特徴を比較検討していく予定です。

いろいろな可能性がある「健マネ」

健マネは学際的教育を重視しており、特定の専門科目だけでなく様々な専門科目を履修でき、視野を広げることができると思います。私はその部分に惹かれ入学しました。実際に授業を受け、スポーツマネジメント専修で文系出身の私でもこんなに専門的な授業を履修できるのかと驚いた科目もあります。年齢も職業も様々なメンバーで構成されているので毎日、刺激的です。健マネを目指す人たちには、いろいろな可能性を頭に描きながら、「何かを成し遂げよう」という熱意を持って来てほしいと思います。やる気さえあれば、環境も良くチャンスも多いので多くのチャレンジができると思います。