Voices|一条 由香さん

ワシントン大学での留学生活

Profile

一条 由香(いちじょう ゆか)
【看護学専修】

慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 後期博士課程 在籍

ワシントン大学留学を目指した動機

私は看護医療学部在籍時からグローバルに活躍したいと考えていました。看護の領域ではその国や地域の文化の影響が強く、多様性を知ることが必須だと考えたからです。臨床経験を積んでから健康マネジメント研究科の修士課程へ入学し、さらに後期博士課程へ進学したのも、その思いが変わらなかったからです。ワシントン大学は全米トップクラスの看護系大学として評価されており、ここで学ぶことは看護研究者としての成長に必ず寄与すると確信しています。

さらに、この短期留学終了後に、Visiting Graduate Students Certificate of Attendanceをワシントン大学から頂く予定です。今後日本国内だけでなく、海外でキャリアアップを目指す際に、これがプラスになることを期待しています。

授業について

ワシントン大学での半年間の留学中は、基本的に博士課程1年目の必修科目を受講しています。秋学期の「Ecology of Human Health」という授業では、看護において重要な概念である「人間」「環境」「健康」ならびにその関係性について深く考察しました。ここで土台を築き、冬学期には「The Science of Nursing Therapeutics」という授業でより踏み込んだ考察を行うことになっています。授業は週2回ありましたが、授業前には指定された論文や教材を読み込み、授業ではクラスメイトと活発に議論を交わしました。毎週のようにレポート提出が求められましたが、大変だったからこそ、深く学ぶことができたと実感しています。

最も印象深かったのは「health disparities」をテーマとした授業でした。直訳すると「健康格差」。人種や民族、社会的地位によって生じる、健康と医療に関する格差を意味しています。外国人が少なく国民皆保険制度の日本ではピンと来ないかもしれませんが、人種のるつぼと言われるアメリカでは、この健康問題はとてもホットなのです。授業では、「health disparities」という概念をどう定義するか、環境がどう影響しているかについて議論しました。冬学期には「Healthcare in the Underserved Community」という授業で、十分なサービスを受けることができない人々の健康について学ぶ予定です。

研究指導について

授業に加えて、担当教授から博士号取得に向けての研究指導も受けています。英文での論文投稿に向けて細やかな指導を受けることができ、とても勉強になります。ワシントン大学では教育・研究サポートが充実していて、例えば、学内組織のOffice of Nursing Researchでは、統計の専門家から無料で個人指導を受けることや研究助成金の情報を得ることができます。図書館ではライティングに関するサービスが提供されており、授業の課題だけでなく博士論文や投稿論文について幅広くアドバイスを受けることができます。

シアトルでの生活

シアトルでは一人暮らしをしています。自炊しているのですが、シアトルは日本人が多いこともあり、日本食の材料調達には苦労しません。休日も基本的には勉強や論文投稿の準備に追われていますが、たまには買い物に出かけたり、シアトルで知り合った友人と遊びに行ったりもしています。感謝祭の時にはクラスメイトとpot luck partyをしたり、担当教授の自宅に招かれて伝統的なThanksgivingの食事を堪能したり、充実した日々を送っております。ワシントン大学には立派なジムがあるので、空き時間には運動もしています。

ワシントン大学のクラスメイトと共に

ワシントン大学のクラスメイトとの繋がりは留学生活で得られた宝物の一つです。純粋なアメリカ出身者だけでなく、韓国や中国、台湾などの東アジア出身者、また中東出身者もいて、国際色豊かなクラスメイトです。異なる文化的背景を持った多様なクラスメイトたちと話せることはとても刺激的で、貴重な経験です。自分がいかに狭い世界で生きてきたのかを痛感させられます。授業の課題について相談し助け合うのはもちろんですが、博士号取得に対する不安や研究者として成長するうえでの悩み、将来の進路など、話題は多岐にわたります。帰国後もこの繋がりを大事にしたいと思っています。

(インタビュー2018年1月)